VOL.59 すったもんだの水分補給対策
一年ほど前、うめちゃんのおしっこの回数が増えたような気がして、何かの病気ではないかと慌てた。
これは緊急事態発生ということで、さっそく病院へ。
何かの手がかりになれば、という必死の思いで、うめちゃんのおしっこをビニール袋に入れて持参。
しかし、猫用トイレの砂に染みこんだおしっこでは、検査の役には立たないとのこと。
心配を少しでも解消したいという思いもあって、血液検査を依頼。
結果、何も心配する必要はなし。ただひとつ、体の中の水分が少々不足している、とのこと。
うめちゃんに、もっとお水を飲んでもらうことが課題になった。
おしっこは改めて検査をするということで、検査のためのおしっこキッドをいただいて帰宅。
おしっこキッドは、棒の先にスポンジがついたもの。
このスポンジでおしっこを吸い取り、少しでも早く病院に届けることが、私のもうひとつの課題。
どちらの課題も、私にとっては、とても難しいもの。
さてさて、どうしたものか?
まずはペットショップに向かい、おしっこが砂に吸い込まれずに、トレイの下に落ちてくるタイプのトイレを買い込む。
さっそくトイレをセットして、うめちゃんがいつ、トイレに行ってもいいようにスタンバイ。
何気ない風を装いながら、気持ちは、うめちゃんの動きと新しいトイレに集中。
さぁ、いつでもいいよ、うめちゃん。
…だが、興味深げに、新しいトイレに向かい、楽しげに用を足したのはももちゃんだった。
トイレをきれいに洗い、改めてセットしたけれど、うめちゃんはこのトイレが気にいらないようす。
うめちゃんに、お水を飲んでもらう工夫をするほうがいいかもしれない。
しかし、うめちゃんは、お水を飲むことにとても神経質だ。
彼がお水を飲んでいる時に、少しでも大きな音をたててしまったり、
お水を飲んでいることに気づかず、彼のそばに近づこうものなら、すぐに身を低くして、
お水を飲むのをやめてしまうのだ。
特に、男性が近づくといけない。
これは私の憶測でしかないけれど、うめちゃんは、自分で自分の身を守って生きていた頃、
お水を飲んでいる時に、男性に何かひどいことをされたのではないだろうか。
そうでも考えないと、うめちゃんがお水を飲む時に見せる警戒心は説明のしようがないのだ。
というわけで、次なる手段はウォーターファウンテンの購入だ。
フィルターで濾過された水が常にドームの上を流れているというもの。
これならきっと、うめちゃんも興味を持って、お水を飲んでくれるだろうし、
幼い頃に経験したかもしれない怖い思いも忘れてくれるかもしれない。
それにきっと、新しい物好きのももちゃんが喜んでくれるだろう。
うきうきしながらセッティングを整えた。
しかし、しかし、だ。
ももちゃんは、これを「おもちゃ」として捉えてしまい、手をチョンチョンと水につけては、
その手をプルプルと動かすのみ。
うめちゃんも、ジーという機械音が嫌なのか、近づいてはいくものの、お水を口にする気配はない。
期待は叶わず。
仕方がない。ももちゃんのおもちゃとして、とりあえず、ここに置いておこうといった気分になる。
結局ドライフードにウェットフードをプラスして、少しでも水分を取り入れてもらう方法に落ち着いた。
物事はすべて、諦めないことが肝心。
何故なら、一年経った今、うめちゃんは、ウォーターファウンテンから、
おいしそうにお水を飲んでくれているのだから。
喜んでくれるだろうと思っていたももちゃんが、
今も変わらず、ボウルでお水を飲んでいるのは意外で、残念なことだけれど。
しかし、それぞれがそれぞれの好みを持っているのは当たり前のこと。
私の勝手な想いがかなわなくても、それをよしとして受け止めるのが、私の役割というものだろう。
私にとって、ふたりの快適、ふたりの健康が最優先事項なのだから。
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