VOL.55 うめちゃんとももちゃんの、いい子、いい子
一日のうちに何度か、ももちゃんはうめちゃんに「いい子、いい子して」とおねだり。
うめちゃんはももちゃんの要求をやさしく受けとめて、ももちゃんを片手で抱えながら
、顔中、一生懸命なめてあげる。
その時のももちゃんのしあわせそうな顔といったら。
「ももちゃん、よかったねぇ。うれしいね」
見ている私もしあわせな気分だ。
今まで、この「いい子、いい子」はうめちゃんがももちゃんにしてあげるものだった。
しかし、最近になって、ももちゃんがうめちゃんに「いい子、いい子」してあげる場面を見るように。
ももちゃんもおとなになったということなのか…。
「愛情のお返しね」という、ももちゃんの健気さやかわいらしさが感じられて胸が熱くなる一瞬だ。
うめちゃんへの愛情のお返しが終わると、ももちゃんは私のところへやって来て「ミャー」と私の顔を見上げる。
口角をあげ、いっぱいに開いた口がかわいくて、何とも愛おしい。
次は私がももちゃんをいい子、いい子してあげる番。
ももちゃんの腰からおしりのあたりを、やさしく、何度も撫でてあげる。
ももちゃんは、後ろ足をふんばり、しっぽをピンとたて、背中をまるめて、
気持ちよさそうに目をほそめ、もう一度、私の顔を見上げてくれる。
「ありがと、気持ちいいよ」そんな声が聞こえてきそうな表情。
「いいえ、いいえ、どういたしまして。私のほうこそ、
ももちゃんに喜んでもらえて、すごく嬉しいのよ。こちらこそありがとう」。
うめちゃんは毎日、机の前に座る私の膝の上に来てくれる。
私は、コロンとまるくなったうめちゃんの背中を片手で支え、
もう一方の手で顔やあごや耳のうしろ、背中やお腹、後ろ足を丁寧に心を込めて撫でる。
うめちゃんは「今度はここを撫でてね」と顔を仰向けてみたり、首を曲げてみたり。
そして、すぐに聞こえてくるのは、「ゴロゴロ」というやさしい声。
このやさしい声が、私の心をあったかく、元気にしてくれる。
うめちゃんの体を撫でながらも、つい仕事が気になり、
パソコンの画面や資料に目が行くと、次の瞬間には、うめちゃんの手が私の頬にのびる。
「駄目だよ、ちゃんとぼくを見ていてくれなくちゃ。ちゃんとわかるんだから」
「あれ?目つむってなかった?ごめんね」
うめちゃんに嘘はつけないな。いつもそう思う。
■前の「相棒猫日記」へ
■次の「相棒猫日記」へ
■「相棒猫日記」の目次へ