VOL.40 新しい仲間、ももちゃんとの対面/2005年10月22日(出会いから417日)
うめちゃんの新しい仲間、ももちゃんを迎える日。
私は、朝から少し緊張している。
うめちゃんは、ももちゃんと仲良くできるだろうか。
ももちゃんは、新しい環境に馴染んでくれるだろうか。
新しい猫さんを迎えるために、どうしたら猫さん同志が上手に仲良くなれるのかを知りたくて、いろいろな本を読んだ。
先住猫さんを大事にすること、というのが共通して書いてあること。
新しい猫さんはケージに入ってもらい、しばらくの間は別の部屋で暮らしてもらうと良い、とも書いてある。
先住猫さんが別の部屋の猫さんの気配を感じ、慣れてくれるのを待つというのだ。
新しい猫さんのにおいのついた毛布のにおいをかいでもらい、自分以外の猫の存在を知らせるのが良いとも書いてある。
なるほど、ごもっとも、という感じ。
中には、1ヶ月から3ヶ月かけて仲良くなってくれるようにする、と書いてあるものもある。
いずれにせよ、うめちゃんとももちゃんが仲良くなってくれるためには、気長に付き合っていかなければならないのだろうと覚悟を決める一方、実家のパチャとも、仲良く遊べるうめちゃんを思うと、きっと大丈夫、と思っている私もいる。
夕方、約束の時間に間に合うよう、佐藤さんのお宅に向かう。
佐藤さんのお宅では、子猫さんが部屋中を駆け回っていて、もう、それだけで楽しい。
佐藤さんが「はい、ももちゃんです」と子猫さんを抱かせてくれる。
名前はももちゃんにすると伝えていたので、すでに、子猫を「ももちゃん」と呼んでいてくれた様子。佐藤さんの優しさが嬉しかった。
おとうさん猫さんとおかあさん猫さんとお揃いの「MOMO」と名前の入った首輪をいただき、恐縮しながら帰途につく。
帰りの車の中、ももちゃんをキャリーバッグから出して抱っこする。
小さくてはかなげな体。
うめちゃんに出会い、最初に抱き上げた時も、こんな感じだったかもしれないと思い出す。
「ももちゃん、あなたはももちゃんですよ。今日からよろしくね」
ついさきほどまで、兄弟姉妹たちとじゃれあっていたのに、急に、ひとり引き離されて寂しいだろう、心細いだろう、大丈夫だろうか、という私の心配をよそに、ももちゃんはすぐに、私の手の中で眠りはじめた。
「何も不安はないよ」というように、スヤスヤと。
あたたかくて、やわらかいももちゃんを手の平で受け止めながら「ももちゃん、一緒に楽しく暮らそうね」と言ってみた。
ももちゃんには聞こえただろうか。
部屋では、おにいさん猫、うめちゃんが私の帰りを待っている。
うまく対面させることができるかどうか。
私の中の緊張はしだいに高まる。
うめちゃんが、新しい仲間、ももちゃんと対面する瞬間がやって来た。
「うめちゃん、ただいま。お留守番、ありがとう」と、いつものように声をかけながら、うめちゃんの待つ部屋へ。
これまでに、いろいろと本を読み、自分なりに対面の瞬間を思い描いていたつもりだったが、正直なところ、緊張で頭の中は混乱していた。
とにかく、何よりも大切にしたかったのは、この部屋を自分のテリトリーとして暮らしているうめちゃんに、ストレスがないようにしたいということ。
そして、まだまだ赤ちゃん猫さんのももちゃんが、この部屋に、少しでも早く馴染んでくれるようにすること。
部屋に戻ったら「こうして、ああして」と決めていたはずなのに、それらは何も果たせないまま。結局は私なりのご対面のさせ方になってしまった。
バッグの中にいるももちゃんのそばに、うめちゃんを抱いて連れて行く。
「うめちゃん、ももちゃんだよ。よろしくね。仲良くしてね」うめちゃんは、私の腕の中でじっとももちゃんを見つめている。
突然、バッグの中のももちゃんが動いた。
その動きにびっくりしたうめちゃんは、私の腕から飛び出し、部屋のすみに走り去る。
「うめちゃん、ごめん。びっくりしたね。でもね、大丈夫だよ」と、うめちゃんを抱っこして落ち着いてもらおうとするが、駄目。
うめちゃんは壁づたいに、どこまでも逃げてしまう。
仕方がないので、ももちゃんには「落ち着くまでごめんね」と、準備しておいたケージに入ってもらう。
ケージを嫌がることもなく、くつろいだ様子でタオルの上に身体を横たえるももちゃん。なかなかの大物。
一方のうめちゃんは、おそるおそるケージごしにももちゃんをのぞきこみ、ももちゃんがほんの少し手をあげただけでもびっくり。
身をひるがえして逃げてしまう。
それでも興味がないわけではないので、またそっと近づき、今度はももちゃんのあくびにびっくりして、あわてて隠れるという具合だ。
本当に臆病なうめちゃん。
うめちゃんの興味具合を見ながら、ももちゃんにケージに入ってもらったり、出してあげたりを繰り返すうち、次第に少しずつではあるが、ふたりは距離を縮めている様子。
あとはふたりのペースにまかせるのがいいだろうと、気長に待つことに。
そして朝がくる頃、ようやくふたりは、それぞれが「ここなら安心」と決めた場所で、静かに眠りはじめた。これなら、私も少し眠れそう。
うめちゃん、ももちゃんをよろしくね。
そして、ももちゃん、うめちゃんをよろしくね。
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