VOL.34 お引越し前日/2004年5月14日・金曜日(出会いから200日)




相棒猫日記
うめちゃんは新しい事務所に慣れてくれるだろうかという、大きな不安を抱えたまま、そしてその不安を誰にも告げることができないまま、引っ越しの前日を迎えてしまった。

手狭になったから引っ越しを、という話が以前からあったとはいえ、重い腰をあげるきっかけになったのは、うめちゃんを広い所で遊ばせてあげようという社長の優しい気持ちだ。
まるめて放った紙を、うめちゃんがくわえて私のところへ持ってきてくれるポコン遊びを見た社長。
そのポコン遊びで走る距離は長いほうが、うめちゃんも楽しいだろうという社長の優しさ…。
…でも、たとえばうめちゃんが、どうしても新しい事務所に馴染めないようなら、私は、うめちゃんをマンションでのお留守番猫にしたほうが良いのだろうと考えている。
もしそうなってしまったら、社長には本当に申し訳ないけれど、うめちゃんに無理をさせるわけにもいかないだろう。

うめちゃんと出会ってから今まで、半年もの間、ほとんどの時間を一緒に過ごしてきた私にとって、それは、とてもつらいことである。
仕事をしている時、うめちゃんがひざの上にいない。
コピーを取っている時、うめちゃんが足元にいない…。
考えるだけで寂しいことだ。
社長への感謝と申し訳なさ、うめちゃんの気持ちを尊重してあげたいという想い、そして私自身のこれからのこと…。
さてさて、どうしたら良いものか。

うめちゃんをなでながら、眠い頭で考えてはみるものの、今の段階で結論が出るはずもなく、とりあえず、引っ越しが終わったら、もう一度、もう一度だけ、うめちゃんを新しい事務所へ連れて行ってみようと決心し、不安なまま布団へもぐりこむ。
うめちゃんが奏でるゴロゴロが子守り歌だ。






■前の「相棒猫日記」へ

■次の「相棒猫日記」へ

■「相棒猫日記」の目次へ