VOL.31 うめちゃんがくれるしあわせ/2004年5月9日・月曜日(出会いから195日)
事務所の移転が決まった。
だいぶ前から、物が増えすぎて手狭になったから移転を考えようという話は持ち上がっていたのだが、忙しさにまぎれ、ずっと延び延びになっていたのだ。
今回の事務所の移転には、うめちゃんの存在が大きい。
私が、まるめた紙をポンと投げると、それをうめちゃんがくわえて持って来てくれる「ポコン遊び」を見た社長が、うめちゃんも、もっと広いところで遊べたほうが楽しいだろうと移転を決めてくれたのだ。
うめちゃん連れで出勤することを快く承諾してもらっているだけでもありがたいことなのに、さらに「うめちゃんが楽しく遊べる環境を整えよう」なんて…。
本当にありがたいやら、申し訳ないやら…。
感謝という言葉ではとうてい足りない。本当に、心からそう思う。
社長はこれまで動物と一緒に暮らしたことがない。
「うめちゃんを見ていて、動物のかわいらしさ、動物がそばにいることの楽しさ、素晴らしさを知った」と社長は言う。
書類を撒き散らしながら机から机に飛び移り、電話の上に座りこみ、パソコンのキーボードの上を平気な顔で歩き回るけれど、それでも、みんなに愛されるうめちゃんだ。
そんなうめちゃんを見て、事務所に猫がいることに驚く人がいる。
自然、その人に対してうめちゃんの生い立ちを説明することになる。
大抵の人は、うめちゃんにむかって言う。
「良かったね。君はしあわせな猫だね」。
確かにたくさんの野良さんが、ごはんもない、安心して眠る場所もないという厳しい環境の中で生きていること、怪我や病気、不慮の事故で命を落としてしまうことを考えると、とても胸が痛む。
そんな中、こんなにもみんなに愛される猫さんになったうめちゃんは、とてもとてもしあわせな猫だと思う。
うめちゃんに会えて良かったと思う。
助けてあげることができて良かった。
でもでも、うめちゃんよりもしあわせなのは、実は私だ、とも思うのだ。
うめちゃんが私のところに来てくれたことで、私は毎日が楽しい。
とても優しい気持ちで毎日を生きることができる。
毎日が輝いている、と言ったら大げさだろうか。
笑われるかもしれないけれど、でも、本当にそんな気分だ。
だから毎晩、私はうめちゃんを撫でながら「うめちゃん、今日もありがとう、今日も楽しかったね。また明日ね」と言って眠る。
さあ、明日からは引っ越しの準備で忙しくなる。
ぐっすり眠ろう。おやすみ、うめちゃん。
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