VOL.25 うめちゃんの去勢手術/2004年2月19日・木曜日(出会いから116日)
去勢手術のため病院へ出発。
病院には、昨日のうちに予約を入れてある。
昨日は、夜の9時以降、ごはんもお水もあげることを禁止され、うめちゃんはそれに耐えてくれた。ありがとう、うめちゃん。
うめちゃんを外に出すつもりはないけれど、前立腺の病気などを防ぐことができると聞き、手術することにした。
私の緊張が伝わらないよう、なるべく明るい声で話しかけながらバッグに入ってもらう。
病院到着。
手術をするにあたっての同意書に署名を求められた。
手術に失敗して、万が一のことがあっても仕方がないと思わなければならない内容だ。「万が一のことがあるんですか?」と戸惑う私に対して、先生は「何事も100%はないからね」と言う。
先生の言うこともわからなくはないが…。
私は去勢手術をお願いするのであって、失敗はお願いしていない…などと頭の中で私なりの抵抗を試みたが、この場合、同意書に署名することは仕方のないことなのだろう。
少しの間悩んでしまったけれど、結局、うめちゃんは大丈夫だと信じて、書類に署名する。
「どうぞ」と言われ、診察室へ。
さっそく麻酔がかけられる。麻酔が効くまでは一緒にいていいらしい。
私に対する誠意だろうと感じる。
そうは思っても、徐々に意識をなくしていく様子を見るのはつらい。
完全に麻酔が効いたところで、外で待っているよう言われ、待合室へ。
待っている間、私はただただ、うめちゃんの無事を祈るしかない。何もできない、してあげられない。
どのくらいの時間が過ぎたのだろう。再び「どうぞ」と言う声で診察室へ。
手術は無事終わった。麻酔はまださめていない。当然、呼びかけても何の反応もなし。
「聞こえていますか?」と聞くと、まったく意識がない状態だから聞こえないとの答え。
麻酔をさますための注射をすると説明を受け、「お願いします」と私。
うめちゃんの手足はとても冷たくて、体ぜんたいが硬直している。目は開いたままだ。
普通ではあり得ないうめちゃんの様子に、足が震えていることに気が付いた。
早く!うめちゃん、早く帰っておいで…。心の中で必死に叫ぶ。
うめちゃん、うめちゃん…。
うめちゃんの手足が少しずつあたたかくなり、体がだんだん柔らかくなってきた。
瞳孔が大きくなったり、小さくなったりしている。
ふいに焦点が合ったかと思うと、うめちゃんがヒョンと顔を上げ、私の声に気づいてこちらを見る。
良かった。ちゃんと意識が戻った。うめちゃんが帰ってきた。
まだ完全には麻酔がさめきっていないうめちゃんを連れて帰宅。
「はい、うめち、良かったね。帰ってきたよ」
住み慣れた場所に帰ったことで、うめちゃんも安心した様子。
いつものように歩きまわろうとする。
うめちゃんには、まだ麻酔が残っているということがわからないのだ。
よろよろ、よろよろ、コテッ…。
ふらふら、よろよろしながらも、いつものように過ごそうとする姿が痛々しい。
お願いだから、じっとしていてと言いながら、動きまわる姿を目でおっている私のとことに来たうめちゃん。
どうやら膝の上でお昼寝をすることに決めたようだ。
私は、ゆっくり、うめちゃんの頭や背中を撫でる。
何事もなく手術が終わったことに感謝しながら。
すぐにうめちゃんのゴロゴロが聞こえ出す。
夜。食欲もあり、いつもと変わらない様子。
手術後の心配は特になさそう。ようやく本当に安心できた。
今日もゆっくり眠ろうね、うめちゃん。
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