VOL.10 両目がきちんと開いているうめちゃん/2003年11月10日・月曜日(出会いから15日)
おはよう、うめちゃん。
両目がしっかり開いて、かわいらしいうめちゃんだ。
うめちゃんの、つぶれたように閉じていた左目が開いてから初めての出勤の日。
本当なら、もう、1日に4回の目薬をあげる必要はないのだろうし、飲み薬をあげる必要もないのだから、うめちゃんを抱いて出勤するのは間違っているのかもしれない。
しかし、まだまだ、私の姿が見えないだけでソファと壁の間の暗がりにもぐり込んでしまううめちゃんを思うと、どうしても一人残して出掛ける事ができない。
しばし考える。
私は、うめちゃんと一緒にいるために会社を辞める勇気があるとでもいうのか。
いやいや、そんなことはできない。
私は今の仕事がとても好きだし、だいいち、会社を辞めてこれからの生活をどうしようと言うのだ。
社会にはルール、常識というものがある。
…しかし結局私は、今日もうめちゃんを抱いて出勤してしまった。
もう少し、もう少しだけ、と自分に言い聞かせつつ。
「おはよう」
「おはよう、うめちゃん。うわ、うめちゃんの目……良かった」と言ったきり、涙ぐんでいる同僚の顔。
私と同じようにうめちゃんを心配し、愛していてくれる人がここにいた。
そしてそれは彼女だけに限ったことではなかったのである。
会社のみんながうめちゃんを愛してくれていた。
うめちゃんは本当にしあわせな猫だ。そして、私もしあわせ者。
みんなへの感謝を決して忘れない。
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